最新情報 2021年度

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黒川行治会計ファイナンス研究科教授の著書『会計と社会 -公共会計学論考-』(慶應義塾大学出版会、2017年10月)が、2020年度の日本経済会計学会賞(著書の部)を受賞しました。

この賞は会計学、経営学、経済学およびその他関連分野の研究、経営分析、ディスクロージャーおよびその他関連領域で、過去5年内に刊行された卓越する学術著書に対して授与されるものです。
今回受賞した黒川教授の著書は、5部、26章、8補論から構成される700ページを超える大書で、会計を社会システムのサブシステムとして捉え、会計に関わる当事者、当事者の行動、当事者を取り巻く内部環境および外部環境の総体として定義する「会計社会」として捉える一貫した姿勢から、多岐に亘る会計および会計研究の問題を批判的に検討した内容となっています。
このような観点から会計学の論点を集約した書籍はこれまでなく、その集合体としての本著書は独創性・新規性の観点から高く評価されました。特に、個人および組織の倫理や道徳、人的資源、持続可能性などの定量化することが難しく、計量的な実証分析が困難な領域に関して、公共性の視点から会計学の方向性を位置づけていますが、長年に亘り財務データを活用した実証分析を研究し、かつ複数の中央省庁の審議会や専門委員会などで政策決定にも関わっている黒川教授により裏付けられ、体系化された論考であり、会計そのものの社会貢献を示すと共に、会計学者あるいは広く社会科学者さらには会計プロフェッションが持つべき哲学をも深く考えさせる著作となっていることが、受賞に相応しいとされました。