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石黒秀明会計ファイナンス研究科教授が、日本税理会連合会が顕彰する学術研究賞である「第48回日税研究賞」研究者の部において入選しました。
今回受賞したのは、論文「実証租税法学試論-租税法と統計学の融合を目指して-」です。公益財団法人日本税務研究センターに設けられた選考委員会によって、論理性、実証性、独創性などを基準に選考されました。

受賞コメント

石黒秀明会計ファイナンス研究科教授

近年、租税訴訟事件において、必ずしも科学的な根拠に基づかない判決が頻出していることに多大な危機感を感じ、この受賞論文を執筆しました。
論文は「実証租税法学試論-租税法と統計学の融合を目指して-」と題するもので、不相当に高額な役員供与の額が争われた「京醍醐味祖事件」と、馬券払戻金の所得区分が争われた「高松外れ馬券事件」を取り上げ、それぞれ「平均分散」「仮説検定」という統計学の別の視点・手法を用いて、課税庁の課税処分および裁判所の判断の不合理性を指摘し、立法論も含めた今後の対応を提言する内容となっており、特に後者の事件については、上告審で私が最高裁に提出した鑑定意見書をベースにしています。
租税法学はもともと学際的な学問ですが、これまで統計学などの自然科学面からアプローチされた研究はそれほど多くなかったと認識しています。 公平かつ合理的な税制の立案および税務行政の執行、ひいては納税者の権利保護のためには、学術界が自然科学との融合を通じた研究を推進することにより、それらが依拠すべき科学的根拠の重要性を広く社会に啓蒙していくべきではないでしょうか。 今回の私の研究と受賞が、少しでもその契機となれば望外の喜びとするところです。