2015.06.15 UP

ケーブルテレビ局からの委託でレギュラー番組の制作を担う学生たち

ネットワーク放送プロジェクト 『ワンちゃん物語』

J:COMチャンネル(市川市・浦安市)が平日17時40分から放送している番組「デイリーニュース」の月曜コーナーに「ワンちゃん物語」があります。市川市内で散歩する犬を毎回2~3匹紹介するこのコーナーは、2013年6月の放送開始以来、政策情報学部柏木将宏教授のゼミ生を中心とする情報基盤会議「ネットワーク放送プロジェクト」が制作しています。

番組制作を"仕事として"受ける

政策情報学部の学生がJ:COM(市川市・浦安市)チャンネルの番組制作に携わるようになったのは2011年のこと。同局に勤務する本学のOBを介し、「いちかわっと(What?)HISTORY」という番組の制作を依頼されたことが始まりです。
「やるからには仕事として受けてほしい」という局側の条件の下、「ワンちゃん物語」はJ:COMチャンネル(市川市・浦安市)から本学への業務委託契約により制作され、報酬も支払われています。その前提には、公共放送に耐えうる品質基準の制作力はもちろん、期日までに納品するといった制作プロセスにおけるビジネス上の信頼がなければ、企業から大学に番組の制作が委託されることはありません。「いちかわっと(What?)HISTORY」に始まる政策情報学部の学生たちの活動により、同局との信頼関係を築いたことで、仕事として番組を制作することが実現しています。

ロケハン、出演交渉、撮影、編集も全て学生が担当

現在、「ワンちゃん物語」に携わる学生は10名程度。ロケハン、飼い主への番組出演交渉、取材、撮影、編集まで一連の過程を全て学生が担当し、完パケ(放送で流すだけの状態)で納品することが仕事です。制作は2チームに分かれ、市川市内の大洲防災公園、じゅん菜池緑地、里見公園、八幡宮など散歩中の犬が多く集まるところに出向き、飼い主に出演の交渉をして、OKが出ればその場で撮影します。犬の良い表情やしぐさを引き出し、その瞬間を捉えるのは易しいことではありません。屋外では天候にも左右されるため、撮影には機会を逃さぬ確かな技術力が求められます。また、持ち帰ったテープは放送日の1週間前までに編集し、納品しなくてはなりません。

  • いちかわワンちゃん物語
  • いちかわワンちゃん物語

飼い主たちの喜びの声がモチベーションをアップ!!

局からの要望は「大学生ならではの番組」を作ること。これが実際には難しく、学生のオリジナリティに溢れる構成や編集には毎回苦労しています。納期が遅れたり、不備があれば局のディレクターから厳しい叱責を受けることもありますが、完成した映像が放送された時の喜び、出演した犬の飼い主から届く感謝の手紙やメールは、番組制作者としてのモチベーション維持につながっています。
番組開始から2年、局からの評判も上々です。「ワンちゃん物語」は局から提案された企画ですが、さらなる信頼を得られるような活動を続け、いずれは自分たちのオリジナル番組を企画・制作することをめざしています。

  • いちかわワンちゃん物語
  • いちかわワンちゃん物語
  • いちかわワンちゃん物語

学生の声

松井さん

一番の苦労は編集作業に時間がかかることです。いろいろな芸を見せてくれる犬はいいのですが、カメラを向けても何もしてくれない犬だと編集するのが難しいです。私はテレビ業界で働くことを希望し、このプロジェクトに参加していますが、将来に活かせるいい経験ができていることを実感しています。

政策情報学部 松井 龍之介(八千代松陰高校出身)

西性さん

私は1年生から参加していますが、最初の制作はちょうど梅雨の時期で、雨が続いて思うように撮影ができず、納品が間に合うかどうかハラハラしたことが思い出に残っています。自分が苦労して作った番組が放送されるのはとても嬉しいです。この活動に参加して以来、テレビを作り手の視点で見るようになりました。

政策情報学部 西性 大輝(日立商業高校出身)

阿久津さん

番組制作を通じて、ものを作ることの大変さと楽しさの両方を味わっています。どちらかといえば、大変さのほうが多いですが、その大変さが楽しさになっているような気がしています。犬のいい表情をうまく引き出せた時など、局の担当者の方からほめていただくのは嬉しく、また頑張ろうという気持ちになります。

政策情報学部 阿久津 凱(東京学館船橋高校出身)

担当教員の声

撮影や編集の技術的なことは学内のLANを使ったテレビ放送などで経験をしているのであまり問題はないのですが、その映像素材をどのように分かりやすく表現するかという構成の面ではいつも苦労の様子がうかがえます。私は基本的に口を出さず、構成や演出などは学生たちに任せるようにしています。最近は、いかに魅せる番組にするかということに工夫が見られるようになってきています。

政策情報学部 教授 柏木 将宏

柏木 将宏 教授

卒業生はいま

「ワンちゃん物語」をはじめ、J:COMチャンネル(市川市・浦安市)の番組に学生が関われるようになったのは、同社に勤務する卒業生がきっかけです。これまでネットワーク放送プロジェクトに参加した学生は100名以上。卒業生たちは、NHKや民放キー局の番組を制作する会社、国内外の人気イベントで映像演出を行う会社、大手予備校の映像教材を制作する会社などで、学生時代に培った知識と技術を活かし、活躍しています。

ネットワーク放送プロジェクトとは

本学の充実した情報基盤の上で、放送と通信の融合をテーマに活動するネットワーク放送プロジェクト。1996年から、学内イベントのインターネット中継や学内情報番組の放送、ITスタジオなどに関わる活動を行っています。このプロジェクトの中心となるスタッフの多くは政策情報学部の学生たち。番組制作やネットワーク放送に携わり、通信基盤に関する知識や技術、コンテンツの制作に不可欠な表現などのノウハウを身につけています。