「真間あんどん祭り」で地域活性化
人間社会学部 真間行灯ライトアップ企画実行委員会
2015年から始まり、市川の夏の風物詩となりつつある「真間あんどん祭り」。市川市民と本学学生の手によって、事前に製作された約200個の行灯が、真間の商店街から真間山弘法寺にかけて並べられ、夏の夜を幻想的に照らしました。
地域の人に恩返しをしたい
「真間あんどん祭り」に、人間社会学部生が実行委員会メンバーとして参加するようになったのは、地元の商店街の方と市役所の街づくり担当の方からの「地域を盛り上げるのに、千葉商科大学生と一緒に何かできないか」という提案がきっかけでした。地域活性化や社会福祉を研究テーマとする人間社会学部では、普段からお世話になっている地元の人たちに何らかの形で恩返しをしたいという思いから、真間あんどん祭りの企画・運営への参加を決めました。
時代の移り変わりとともに、昔ほどの賑わいを失いつつある真間の商店街。地元の人が楽しめるイベントを実施することで、地域を再び活性化させ、地元の人にとってもそうでない人にとっても魅力ある街にすること。また、少子化や高齢者福祉などの社会的課題に対し、子どもから大人までさまざまな年代が交流できる場を提供することも、委員会のミッションでした。
企画の立ち上げからお祭り開催を通じての学び
祭りの開催は7月22日。4月の始めに実行委員会が立ち上がり、学生統括リーダーをはじめ、人間社会学部と政策情報学部の教員、実行委員長や真間小学校PTA会長など地域の方が一同に介す企画会議を月に1回程度、実施しました。企画会議では新しい企画の案出し、起こりうる問題に対する解決方法など、何度も議論を重ねました。
一方で、市川市民が参加できる事前のイベントとして、行灯製作も行いました。それまで2日間だった製作日を倍の4日間に増やし、過去最多である約200個の行灯製作をめざしました。市民と学生、市民同士の交流も目的とした行灯製作時には、実行委員会メンバーの学生から、参加者である保護者やその子どもたちに、言葉を選んでていねいに作り方を伝えるように努めました。
お祭り当日は、境内に商店街の出店屋台が並び、ステージでは学生が企画した本学学生のバンド演奏、ダンスパフォーマンスも会場を盛り上げました。19時半になると、一斉に行灯に光が灯され、来場者から歓声が上がりました。また、2018年度は新しい試みとして、小学生向けビンゴ大会、政策情報学部生による真間山弘法寺祖師堂をスクリーンとしたプロジェクションマッピングを実施。弘法寺の急な階段を上るのが難しい方々のために、階段下からあんどんを鑑賞できる観覧席を設置するアイデアも採用され、さまざまな年代の方に喜んでもらえました。
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石段で警備を担当する学生
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新企画「ビンゴ大会」
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スタッフ用の会場マップ
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行灯が灯された後の石段
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仁王門の前の行灯(写真部撮影)
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プロジェクションマッピング
企画を立案、運営する中で大切にしたのは情報共有とスケジュール管理です。1年生から4年生まで、総勢約160人の学生スタッフ同士が、お互いに疑問や不安がないように担当業務をはっきりさせ、スケジュール通りに進行させることだけでも大変ですが、さらに、お祭りに協賛、協力いただく商店街や弘法寺の近隣の方々との連携も欠かせません。
学生、教員に加え、地域の方々と関わることで、最初は勝手が分からずに自分から動けなかった学生も、次第に自ら考えて動けるようになりました。自分の担当業務を進めながら、手が回っていないところがあれば、積極的に仲間を助け、フォローしたり、開催場所の近隣の方々に準備段階のうちから訪ねて行ってご挨拶をして、自分たちの活動内容を知ってもらったりする姿勢が見られたのは、大きな成長でした。
祭りを継ぐということ
学生たちは、企画をマネジメントする実務的なスキルを身に付けたのはもちろん、研究テーマでもある「地域活性化」「社会福祉」についても実践の場で深く学ぶことができました。主なステークホルダーである地域の方々とどのような関係を築いていけばよいのか、また関係を築いた上で、地域が抱える問題解決にどう関わるべきか。学生として何ができるのか。というのが今後の課題となります。
祭り当日を終えても、企画・運営は終わりません。開催後は、次回の企画・運営をメインで担当する後輩のための資料を作成し、引継ぎの準備を整えることで、先輩から後輩へ、経験や業務内容、企画へ対する想いが脈々と受け継がれていきます。真間あんどん祭りは、地域を活性化する手段の一つです。今後も、さまざまな社会的課題の現状を知り、それらを解決するためにどのような取り組みがあるのかを調べ、考え、具体的アクションを起こしていくことで学びを深めます。
学生の声
私は、渉外と調理のチームリーダーを務めていたので、特に地域の方々との連携が欠かせませんでした。定期会議以外でも、商店街を通りかかった際には、委員会メンバーの方のお店に寄って立ち話をするなど、積極的にコミュニケーションを取るようにしました。「企画を楽しく進めたい」と常に考えていたので、そのためには周りの人とのコミュニケーションは不可欠。意識的に動いたというよりは、自然と行動していたように思いますね。企画を通じてさまざまな立場、年代の方々と関わるのはとても勉強になりました。私は地域の方々や運営幹部と関わることが多く、そこで決められたことを現場に持ち帰ると、現場担当から反対意見が出てすれ違うこともありました。でも、そこで終わりにしないで何度も話し合い、お互いの意見を取り入れるように努力しました。今後の運営は後輩が受け継いでいくことになりますが、さらに地域の人との関わりを深めながら、イベントを育てていければいいなと思います。
人間社会学部 清水卷(足立高校出身)
担当教員の声
最初は、何をしたらよいか教員に質問して作業を進めるといった感じでしたが、次第に自分たちで新しい企画を出し、それが会議で通ると、実現のためには何が必要か、どのようなスケジュールで進めるべきかを考えて、関係者と確認して進めるというように、どんどん積極的に動くようになっていきました。さまざまな人と関わる中で、コミュニケーション能力も格段に向上したと思います。そして、大切なのは単に「イベントを実施した」というところで終わりにするのではなく、研究の観点で課題と向き合うこと、地域の課題解決につなげることです。主役となる地域の方々とともに、今後どういう街づくりが必要なのかを議論、共有しながら、学生がその一端を担うようになってもらいたいですね。
人間社会学部 専任講師 齊藤紀子
地域の方の声
「真間あんどん祭り」は、商店街をシャッター通りにしたくない、地元をもっと活性化させたい、ここで育つ子どもたちに地元の思い出を作ってもらいたい、という思いから始まりました。千葉商科大学さんにお声がけをしたら、ちょうど研究テーマとも合っていたということで、学生の皆さんが企画・運営に協力をしてくださることになりました。年々、学生の意欲が高まり、結束が強くなっているように感じます。それと同時に、お祭りの認知度も高まってきて、来場者もどんどん増えていっています。地域の問題に一緒に向き合ってくれているのがとても嬉しく、頼もしく感じます。
真間行灯ライトアップ企画実行委員会委員長 「肉の山崎」二本松正利さん
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真間あんどん祭りには、1年生の時から携わってきました。その中で「自分だったらこんなことをしてみたい」という想いが強くあったので、自分が中心になって企画・運営したいと思い、代表に立候補しました。160人という大人数をまとめるのは初めてのことで、正直苦労しました。今までは、何でも1人でやってしまう性分だったのですが、それでは企画がまわっていかないということに早々に気づき、まわりとコミュニケーションを取りながら、皆に自分ごととして企画に携わってもらうように巻き込む努力をしました。また、実行委員長の念願が叶い、今回はじめてお寺の近辺だけではなく、真間の商店街から行灯を並べました。最終的には弘法寺から市川駅までの大門通り一帯に行灯を並べられるまでこのイベントが成長するといいなと思います。何年かかってもいいので、後輩にその目標を達成してもらいたいです。その際には、私も何らかの形で協力したいと思っています。
人間社会学部 島田明里(千葉女子高校出身)