2016.01.14 UP

リアルなスポーツビジネスを学ぶ

サービス創造学部 千葉ジェッツプロジェクト

2015年12月12、13日の2日間、プロバスケットボールチーム 千葉ジェッツの公式戦が、千葉商科大学マッチデーとして開催されました。「CUCスペシャルコラボ2Days」と題した2連戦の会場は、船橋アリーナ。その通路や階段に施された装飾、試合後にはコートをステージに変え、華やかな光源を使ったダンスイベントを手がけたのは、サービス創造学部 千葉ジェッツプロジェクトの学生たちです。この2連戦に若年層の集客を高め、新たなファン層の獲得をめざす企画に挑戦しました。

スポーツビジネスを学べるサービス創造学部

卓越した技術とスピード感あふれるプレーで観客を沸かせるプロバスケットボール。興奮と熱狂に包まれる試合の裏側には、チームを運営する会社があり、チケットやグッズの販売、イベント企画、ファンサービス、地域貢献活動など、スポーツは今、見る・行うことから、スポーツを軸としたビジネスが広がりを見せてます。
このようなスポーツビジネスの教育に力を入れているのが、サービス創造学部です。千葉県のプロバスケットボールチーム「千葉ジェッツ」(運営会社:(株)ASPE)の協力を得て、学生たちがチームの課題解決に取り組むなど、実践的なスポーツビジネスを体験する機会を用意しています。

  • 千葉ジェッツ試合会場
  • 千葉ジェッツ試合会場

プロバスケットボールチームの課題解決を「やってみる」

プロスポーツチームの安定した経営を支える収入源は、入場料。千葉ジェッツはさまざまなファンサービスを提供し、2015-16シーズンの平均入場者数ランキング(12月末時点)ではNBLトップをキープする人気チームです。ファンの多くは子ども連れのファミリーや小中学生のクラブチーム。そのような中、大学生を含む若年層ファンの取り込みにより、観客動員数の増加、人気の底上げが千葉ジェッツの課題となっていました。
そこで、マッチデー2連戦に若い世代の集客を高める具体的な課題解決策の企画・運営に取り組んだのが千葉ジェッツプロジェクトです。学部の科目「プロジェクト実践2B」を履修する27名の学生が、スポーツ観戦の新たな魅力の創造をめざす活動をスタートしました。

  • 準備風景
  • 学内チケット販売
  • プロジェクト活動風景

若年層の集客を狙う「ダンス×バスケットボール」

プロジェクトが掲げた目標は、チームの選手と同じ年齢層(20代)や学生層の動員を強化することです。まさにこの層に属するプロジェクトメンバーは、自分たちの興味や日常の行動を分析しながら、「好きなことにはお金や時間を使う」ことに着目。大学生の多くが関心を持つものは何かを探り、中でも人気の高いダンスを取り入れたイベントで集客するアイデアを出し合いました。
光るグッズを身に付けて走り、ゴール後に行われる音楽と光で演出されたパーティが話題のイベント「エレクトリックラン」をモチーフとした、光源を使ったダンスイベント『NEON JETS』の開催が決まると、企画、営業、広報、装飾の4班に分かれて準備に着手。ポスターとチラシのデザイン、SNSでの広報活動、千葉ジェッツの選手も出演したPR動画の制作と配信、関係する企業や団体との連絡と交渉、学内関係者へのチケット販売などをすべて学生たちが手がけ、リアルなビジネスを学んでいきました。途中にはうまくいかないことや、予定の変更を余儀なくされるアクシデントに直面することもありました。その都度プロジェクトメンバーで話し合い、前だけを見て進んでこられたのは、普段の経営学の授業で「入場料を払って試合を見に来てくれる人たちを楽しませたい」「観客の満足度を最大限にしたい」といった顧客に対するビジネスの基本をしっかり身に付けたからこそ。
いよいよ迎えたマッチデー2連戦。前日に学生たちが手作りしたアイテムを1つ1つ飾りつけた入口から、両日とも約4,000人が来場した船橋アリーナには、大学生の姿も多く見られました。プロジェクトが学内で販売したチケットは目標とした枚数にこそ到達できなかったものの、前年を大きく上回ることができました。

  • 会場装飾
  • 試合風景
  • 試合風景

イベントは大盛況!! 千葉ジェッツの魅力を広める次の展開へ

大学生の試合観戦を狙ったダンスイベントの企画は、見事に大当たり。アリーナ全体が光と音に包まれたハーフタイムのアトラクション、試合後の『NEON JETS』は大盛況。また、SNSで情報を発信したり、メッセージボードの設置、特製フレームで記念撮影会なども行い、さまざまな世代の観客を楽しませることができました。
千葉ジェッツプロジェクトにとっては、マッチデーの2日間だけの成果にとどまらず、これをシーズンを通した若年層の動員へとつなげることが更なる課題です。来シーズンからプロバスケットボールは統一リーグとなり、新たな展開が待っています。今後もチームと連携し、学生ならではの視点で、千葉ジェッツの魅力を地域から全国へと広めることをめざしていきます。

  • ダンスイベント
  • ダンスイベント

集合写真

学生の声

市村さん

1年生の秋学期から千葉ジェッツプロジェクトに参加し、3年生で代表を務めました。リーダーとして、自分を含めプロジェクトメンバー全員の成長を目標に活動してきました。仲間と同じ時間を共有できた楽しさの一方で、経験者である上級生と新メンバーの下級生との間では意見の食い違いもありました。問題を解消しながら、リーダーのあり方や組織の動かし方を実践的に学べたと思います。多くの方々が会場に足を運んでくれましたが、プロジェクトで販売したチケットは目標数を達成できませんでした。ひとつのプランがダメになった場合の行動を事前に考えておくことを次回に取り入れていきたいです。

サービス創造学部 市村創一郎(千葉商科大学付属高校出身)

森山さん

会場内をコンセプトに沿って飾り付ける装飾班では、アイテムを作る作業も大変でしたが、どんな内容にするかを決めるまでの過程に一番苦労しました。メンバーとの話し合いの中で、自分と同い年のメンバーの考え方に刺激を受けることもたくさんあり、それまでは人任せにしたり、人の意見に流されてばかりでしたが、行動に対する責任の重さを自覚するようになりました。この活動で、社会に出た時に活かせることが身に付いていると思います。

サービス創造学部 森山恵里花(東京家政学院高校出身)

佐藤さん

プロジェクトの副代表として、各班のスケジュール管理、担当教員や企業との連絡が主な役割でしたが、観客数の増加という課題に対しては、観客の満足度を最大限にできるような内容を提供することを目標にしてきました。組織内での行動のあり方にも、顧客のことを一番に考えるということも、経営学の授業で学んだことがプロジェクトを実践する中で大変役立ちました。苦悩や失敗もありましたが、それを乗り越えて成長できることも実感しています。

サービス創造学部 佐藤拓弥(篠崎高校出身)

担当教員の声

この活動は、プロスポーツチームの運営に関わるリアルビジネスを体験することから、ビジネスにおいて収益を得ることの大変さを知り、収益の根源である観客の満足度を高める新しいサービスの創造を追求することをめざしています。観客数の増加という成果が求められる中、さまざまなアクシデントやピンチに直面しても、互いに励まし合い、カバーし合いながら、前に進んでいく学生たちの一体感に感動しました。自分を信じること、そして、仲間や支えてくれる周りの方々との信頼関係もプロジェクトの成功には欠かせません。一人ひとりの力を合わせれば想像もできないような大きな力が発揮できることを実感できたと思います。

サービス創造学部 准教授 滝澤淳浩

滝澤淳浩 准教授

千葉ジェッツ担当者の声

千葉ジェッツのファンは30-40代を中心としたファミリー層が大部分を占めており、大学生など若年層に興味を持ってもらうというのがチームを運営する私たちの課題になっています。私たちが獲得したいファン層と同世代の千葉ジェッツプロジェクトが考えた企画により、例年より多くの大学生が来場してくれました。

千葉ジェッツ 執行役員 梶原 健さん

梶原さん

千葉ジェッツとは

千葉県船橋市をホームタウンとする千葉県初のプロバスケットボールチーム。2013-14シーズンよりNBLに所属し、2014-15シーズンにはプレーオフに進出した。チームを運営する(株)ASPEは、サービス創造学部の学びを支援する公式サポーター企業として、2011年から千葉ジェッツプロジェクトを指導。同年、本学体育館で開催された公式戦を皮切りに、学生たちがファンサービスの企画、運営や会場プロデュースを行う千葉商科大学マッチデーを毎年開催している。