2015.12.24 UP

観光情報誌『るるぶ』の制作で地域社会を学ぶ

人間社会学部1年生 全員参加型アクティブ・ラーニング

少子高齢化、人口の減少、地方の衰退等の社会課題を抱える日本では、これまで以上に、社会をデザインする発想力や行動力、最新の技術を社会で活用する幅広い知識が求められています。未来社会において、安心で暮らしやすい社会をデザインし、新たな付加価値を創り出すのが、人間社会学部での学びです。
入学したばかりの1年生は、「社会の仕組みと課題を知る」活動から4年間の学びをスタートします。

社会のために社会で学ぶアクティブ・ラーニング

人間社会学部では、卒業後に信頼される仕事を行うための知識や能力を養うため、教室を出て、社会の現場で活動することから学ぶ、アクティブ・ラーニング形式の授業を重視しています。
この授業の一環として、入学間もない1年生全員が社会を知り、4年間の学びへと活かす取り組みとして行っているのが、「見る」「食べる」「遊ぶ」を徹底的にガイドしたエリアマガジン『るるぶ』((株))JTBパブリッシング発行)の特別編集版『るるぶ~千葉商科大学 人間社会学部~』の制作です。

社会人基礎力を養い、キャリアを考える

この学部オリジナル『るるぶ』を制作する目的は、社会人基礎力といわれる「考え抜く力(シンキング)」「前に踏み出す力(アクション)」「チームで働く力(チームワーク)」を養うこと。取材先への質問を考え、実際にその場へ足を運んで話を聞く、そして、取材した内容をチームの仲間と協働しながらまとめていくプロセスを経験することで、社会人として必要な力とは何かを肌で感じ、その後の学びへと役立てます。また、取材で訪れる地域の施設や名所でさまざまな職業の方々と交流しながら、社会の仕組みや課題を学び、自身のキャリア形成を考えることも狙いの1つです。

  • 事前講義
  • 事前講義

社会の現場を自分の目で確かめる

2015年度は、5月末から1年生109名が制作活動をスタート。『るるぶ』制作の意義や目的を学んだら、(株)JTBパブリッシングから雑誌づくりのレクチャー、誌面に掲載する写真の効果的な撮影方法を学ぶワークショップに参加して、準備を進めていきました。その間、取材先の下調べをして質問を用意。どの施設も「観光」「まちづくり」「子育て支援」「福祉」など人間社会学部の学びを切り口に取材し、授業で学んだこれらの分野の知識と実際の社会の現場を関連付けて学びを深めることがポイントです。
7~8月にかけて、JR総武線・市川駅から、JR内房線・木更津駅までの沿線にある施設をクラスごとに訪問。それぞれの場所で、人や社会に対する「やさしさ」や「思いやり」の工夫を探し、その施設ならではの魅力を引き出すための質問をすると、たくさんの気づきを得ることができました。
取材後は、たくさんの魅力を誌面の限られたスペースで表現し、記事を書く作業に入ります。取材チーム内で議論を重ね、読み手側の立場を考えて、整理した情報を決められた文字数にわかりやすく的確に書くことは、主観性や客観性、情報発信力を身につける貴重な体験になりました。

  • 写真撮影を学ぶ
  • 取材
  • 編集

学生たちの学びが詰まった『るるぶ』が完成

2015年11月、約5ヶ月の制作期間を経て、前年度に続く学部オリジナル『るるぶ』の第2弾が完成しました。同月には、制作関係者をはじめ、保護者の方々を招き完成披露式を開催。取材先代表チームによるプレゼンテーションも行われ、誌面には収めきれなかった魅力や学生たちの気づきが紹介されました。
制作を指導した(株)JTBパブリッシングソリューション事業本部の齋田令子氏から、「きちんと調べて取材したことがしっかり伝わってくる素晴らしい内容」というコメントとともに、完成した『るるぶ』が学生たちに手渡されました。
この観光情報誌の制作を通じて、社会人に必要な力を理解した学生たちは、その知識の修得とともに各自がめざす分野の学びを深めながら、社会で活躍する将来に向けて前進します。

  • 『るるぶ』納品
  • スライド発表

人間社会学部1年生

学生の声

若林さん

私が取材したレジャー施設では、施設独自の魅力を引き出す工夫、幅広い年代に合わせた工夫があり、観光客だけではなく地域の人々も楽しめるイベントを開催していることを知りました。新しい建物を作ったり、観光客を呼びこむことをするのが地域の活性化だと思っていましたが、地域が一体となった活動が大切だと分かりました。たくさんの魅力を伝えたいのに、指定された文字数にまとめなくてはいけないのが『るるぶ』制作の最大の苦労です。この活動では文章の構成や言葉遣いも学ぶことができました。

人間社会学部 若林紗耶(土気高校出身)

矢野さん

高校時代、福祉やまちづくりに関心がありましたが、具体的な目標は決まっていなかったので、いろいろな職場や活動を見て、話を聞き、体験して学べる人間社会学部のアクティブラーニングに興味を持ちました。取材した施設は、地域との関わりを大切にしていたり、地球環境に配慮したり、利用者やスタッフそれぞれの立場を考えた工夫があるなど、社会には人間社会学部の学びの視点から考えられることがたくさんあることに気づきました。

人間社会学部 矢野裕之(市原八幡高校出身)

片岡さん

私は『るるぶ』の制作に魅かれ、人間社会学部に進学しました。取材をしてみると、今まで知らなかったことを知ることができ、楽しかったです。社会福祉総論の授業でバリアフリーについて学んだので、取材先の公園のトイレでバリアフリー対応を実際に見て確かめることができたことは、みんなが暮らしやすい環境作りへの関心を高めるきっかけになりました。
取材中、伝えたいことをうまくまとめられず言葉に詰まったことがあり、コミュニケーションスキル向上のため、語彙読解力検定に挑戦しています。

人間社会学部 片岡萌乃香(淑徳SC高等部出身)

担当教員の声

『るるぶ』の制作活動を通じて、現場で学ぶ楽しさ、興味や関心を持って積極的に行動することの大切さを知れたと思います。仲間と話し合い、考えて行動していた様子に、この活動の目的でもある社会人基礎力の向上を実感することができました。取材をきっかけに地域との交流も生まれ、それがまた別の学びの機会へとつながると思います。さまざまな活動に、これまで以上に積極的に参加する学生が増えきたことを、とても嬉しく思っています。

人間社会学部 学部長 朝比奈 剛

朝比奈 剛 学部長

JTBパブリッシング担当者の声

初めはただ一生懸命という印象でしたが、入念な準備で取材に臨み、1年生とは思えないほどしっかり原稿も書いてくれました。
流行りの物件を選び、その情報がきちんと整理されている、大変クオリティの高いものに仕上がっています。

ソリューション事業部 メディア制作部 マネージャー 齋田令子さん

齋田さん