学長コラム

本学の取り組みや教育活動、学生たちの活躍などの最新情報を中心に、時折、原科学長の研究テーマである参加と合意形成、環境アセスメントに関連した話題もお届けします。

皆さん、こんにちは。新緑が眩しい季節になりました。
さて近年、「SDGs」という言葉を耳にすることが多くなってきたと思います。街でもエコの推進はもとより、フェアトレード商品の提供や、エシカルやサステナブルを掲げる店舗が増えています。これは、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標を背景としています。この持続可能な開発目標(SDGs)は、持続可能な世界を実現するための17のゴールと169のターゲットから構成され、「地球上の誰一人として取り残さない」社会の実現をめざしています。

教育界では、2020年以降の新学習指導要領の施行や大学入学共通テスト導入等の教育改革が進んでいます。またSDGsへの目標達成と相まって、全ての人が必要な教育を受け、世界が抱える数多くの課題を解決する持続可能な社会を担う人材育成の動きが加速しています。今後、学校現場ではSDGsに関連する教育や取り組みのニーズが更に高まっていくことが予想されています。

このコラムを読んでいる皆さまはご承知の通り、本学では2017年から学長プロジェクトを起点として幅広くSDGsの目標をカバーした教育研究と地域貢献活動を推進しています。本学の建学理念は、SDGsと照らすと親和性の高いことがわかります。創設者の遠藤隆吉博士は本学の前身となる巣鴨高等商業学校の設立理念に「実業は決して己の利益のみを目指すものではなく、社会に奉仕することを目的とする立派な事業である」と記し、高い倫理観を持つ「治道家(ちどうか)」の育成を教育理念としました。「治道家」とは、今日的な意味ではSDGsに取り組み、エシカルでサステナブルな事業収益を追求する「高徳の実業人」を意味します。本学の取り組みのいくつかをご紹介しましょう。

SDGs4

SDGs4「質の高い教育をみんなに」
本学はSDGsを啓蒙し、学生たちにSDGsを自分のものとして考えさせるため、基盤教育科目「実学への招待」を開講しています。この科目は全学的な取り組みとして各学部の教員が協力して講義を担当しています。さらに教育を支える事務組織においてもSDGsにコミットした取り組みを始めており、大学運営・財務活動における社会実装の取り組みとして、2018年5月から日本企業を対象銘柄としたESG投資も進めています。

SDGs7、12、13

SDGs7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」
SDGs12「つくる責任、つかう責任」
SDGs13「気候変動に具体的な対策を」
人類の重要課題である気候変動対策に取り組んでいます。そのために、日本を再生可能エネルギー100%社会にするため、本学は「まず、隗より始めよ」との考えで、日本初の総エネルギーでの自然エネルギー100%大学をめざして総力を挙げて活動しています。教育面での活動と共に「商いの力」で再生可能エネルギーを流通させるにはどうしたら良いか、多方面での研究を行い、具体的な活動も展開していきます。

SDGs11、17

SDGs11「住み続けられるまちづくりを」
SDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」
地域貢献活動では、安全・安心な都市・地域づくりの活動が広がり、本学の位置する千葉県市川市国府台地区及びその近隣に所在する教育機関ならびに医療機関と市川市が連携した国府台コンソーシアムを設立し、教育、地域活性化、地域防災をテーマに活動を進めています。

これらの取り組みは外務省の審査を経て、外務省「JAPAN SDGs Action Platform」に掲載されています。学内以外でも、若者へのSDGsの啓蒙活動として、全国の高校生を対象に「環境スピーチコンテスト」を今年度も開催します。さらに、今年度の公開講座は「SDGsの推進と大学の役割」をテーマに据えました。未来型人材を社会に輩出していく重要な役割を担う高等教育機関として、SDGs時代の大学の在り方や取り組み事例など、専門家を交え議論します。教育機関のSDGsへの取り組み事例が知りたい、自社の産学連携活動の方向性を検討したい、研究者・専門家と情報交換がしたい方、ぜひご参加ください。皆で議論を深めたいと思います。