会計プロフェッションコース:Vol.4

案ずるより産むが易し。先生方の真摯な指導と制度面のサポートで新たな世界が開けます。

轟幸夫さん

轟幸夫さん
会計プロフェッションコース 2018年度3月修了

会計ファイナンス研究科を選んだきっかけやポイントはなんですか?

私は、銀行で18年間、事業会社に転職後19年、合計37年間の社会人生活の殆どの期間におきまして、一貫して会計業務の諸側面に携わって経験を積んでまいりました。そして、当時、60歳を迎えるに当たり、今後は、社外取締役・社外監査役という新たなフィールドにて、私のこれまでの知識・経験を生かし、企業のガバナンスの向上やIPOの実現に貢献したいと考えるに至り、現在の職場へ転職しました。
ところで、実は、私は大学では経済学部出身で、大学生時代は会計も法律も一切学んだことがありませんでした。そこで、転職に際し、実務では長く経験してきた「会計」を改めて深く学び直したいと考え、本学大学院会計ファイナンス研究科へ入学したのです。
本研究科を選択した理由は、主に次の5点にあります。

  1. 理論家の教員と実務家の教員が適切な割合で混合されていて、教授陣が充実しており、理論と実務の融合をマスターするのに最適な環境であること。
  2. 各種資格の取得上も大きなメリットがあること。(会計士試験科目免除、税理士試験科目免除、FP資格の取得や継続教育単位の取得、などが可能。)
  3. 市川・丸の内サテライト共にアクセスが容易であること。
  4. 土・日・平日夜間中心のカリキュラムで、業務に与える支障が少ないこと。
  5. 本研究科は、私の大学時代のゼミの恩師の加藤寛先生が創設されたものであることから、以前より、学び直すならここと、決めていたこと。
  6. なお、私には資格がなく、利用ができなかったのですが、友人たちは、専門実践教育訓練給付金が利用できることも大きな理由のひとつに挙げておりました。

会計ファイナンス研究科を選択したポイントはなんですか?

学び始めて気付いたこととしては、学校から我々学生に対して、手厚く真摯なサポートが提供されている点を強調したいと思います。この点を7点ほど例示致しますと以下の通りです。

  1. 毎週、講義を受けるのが楽しみな授業がある。(「先生方のご指導」のパートで後述します。)
  2. 事務局のスタッフの皆さまがフレンドリーで、手厚いサポートをして下さる。(例えば、授業のビデオ撮影をして、やむを得ない欠席者がDVDで追い付き学習ができるような仕組みがある等々。)
  3. 学校が綺麗である。(CUCサポートの皆さまが教室、研究室、洗面所などをいつもピカピカにして下さる。キャンパスの緑も美しい。)
  4. IT環境が整備されている。(オープンPCが多数設置されており、ID・PWにより自由に利用できる。Wi-Fi環境も整備されている。何とAdobe製品も使い放題です。)
  5. 図書館がとても充実している。(蔵書も多く、学習・研究スペースも広い。司書の皆さまのサポートも手厚い。法令検索DBや財務情報検索DBも多数利用でき、ネットからの情報収集もし易い。)
  6. 共同研究室が自由に利用できる。(警備の方へ申告すれば深夜まで利用可。)
  7. 本学直営のレストラン「The University DINING」や生協もあり、生活にも便利である。

このように、学びや研究の環境としては、これ以上ないほどの最適な環境を提供して下さっておりますので、安心してご入学頂けることをお約束致します。

修士論文の執筆で大変だったことはなんですか?

私にとって修士論文で一番大変だったことは、テーマを決めることでした。自分は会計プロフェッションコースに属しており、会計学の修士論文を作成する必要がありました。しかし、学術論文を執筆するのは初めてです。どんな対象にどんな着眼点で問題意識を持てば良いのか、皆目見当が付かずに悩みました。しかし、後から振り返ってみますと、これは、センスの欠如の問題も大きいですが、勉強不足・知識不足にも大きく起因していたと思います。学術論文を読むと末尾に大量の参考文献が記載されています。これらの先行研究を辿ってゆくことで、現在焦点となっている論点は何か、未解決の課題は何か、といったことが朧気ながら見えてくることが分かりました。
しかし、何と言っても助けられましたのは、指導教授の青木茂男教授からの懇切かつ忍耐強いご指導です。ゼミで、先生から何度もご指導頂き、また、ゼミ生からのアドバイスをもらって、ようやく、自分の修士論文のテーマを、『不適切会計処理に関する一考察』と決めることができました。昨今大きな問題となっている不正会計の統計的実証分析がその内容です。この内容は、自分の仕事にも役立つものとして、研究のモチベーションも沸くものでした。
私からのアドバイスとしましては、切羽詰まらないとできないことかもしれないのですが、このテーマ選択だけは、入学前からある程度目処を付けられればそれに越したことはないと思います。皆さまがモチベーションを持てるテーマを入学前からリサーチしておかれることをお勧め致します。

先生方のご指導はどうでしたか?

本研究科は、大変多様で経験豊かな先生方を多数教授陣に有しております。実際、自分は毎週土・日に講義を受けるのが楽しみでした。先生方には大変失礼かもしれませんが、私が感動・感心しました講義を端的に類型化して例示しますと、次の通りです。

  1. ゼミの先生のご指導(例:指導教授の青木茂男教授の会計学についての博学と学生(だけでなく周りの全ての方)に対する愛情につきましては、ゼミの一門全員が深く感動致しました。それでいてユーモアがあり飄々とされておられる先生の生き方は、我々の人生における今後の目標のひとつとなりました。)
  2. 学生に対する深い愛情を感じる講義(例:「原価計算」では、先生が毎回、如何に我々学生に理解させるかに注力し、全力を振り絞って講義して下さいました。また、期末試験では、テキストと配布物に掲載された問題の中からそのまま出題されたのですが、試験のために同じ問題を何度も何度も解き直して練習をした結果、原価計算の基本をマスターすることができました。私共への教育効果を最大限上げるように配慮して下さった先生の愛情と熱意に心より感謝しております。)
  3. 学者として博識に裏打ちされた大変格調高い講義(例:「監査論」では、そもそも会計や監査がどのような歴史的な経緯や事件を経て形成されてきたかを博学な知識に基づき格調高くご教示頂きました。現在ある制度は当たり前のことなのではなく、その制度が生じた背景や歴史的経緯を研究する必要性・重要性について目を開かせて頂きました。)
  4. 実践に裏打ちされた実務経験豊かな先生方の講義(例:「相続税法」や「金融商品取引法」では、行政部門で長い経験のある先生方より、法令が生じた背景や立法趣旨を自らの関与と共に、大変説得力のある講義でご教示頂き感動しました。また、「相続対策実務」では、業界で最も著名な先生による実践的な講義を受けることができ、幸せを感じました。)
  5. 最大限の教育効果が考慮された合理的な講義・演習(例:期末試験などにおいてテキストや配布物を持ち込み可の先生方も多かったです。実務であれば、当然に資料を確認しながら作業できる訳であり、むしろ、理論や条文の、課題への「適用能力」こそが重要になりますが、この適用能力を重視して下さる先生方がいらっしゃり嬉しかったです。)
  6. 学者としての独創性を強く感じさせて下さる講義(例:「公会計論」では、極めて独創的な構想の公会計理論で日本公認会計士協会の学術賞を受賞された先生のご講義に接し、自らの信念に沿って研究・行動することの大切さを教わりました。)
  7. 日頃の業務と直接関係がなかったため新鮮に感じる講義(例:「マーケティング論」を初めて体系的に学ぶことができたのですが、様々なマーケティング理論を実際の事例に当てはめて検討するケース・スタディでは、それぞれのマーケティング理論の切れ味の鋭さを味わうことができ、大変興奮しました。)
  8. 技術を学べるため嬉しかった講義(例:自分の修士論文のために学ぶことが必須であったのですが、「統計学」を受講して統計学の理論とテクニックをマスターすることができ、一生の宝物となりました。)

以上、私の印象を例示させて頂きましたが、本研究科は、履修可能科目が多く、これに応じて多種・多様な先生方を多数擁しておりますので、きっと皆さま方の琴線に触れるような、ワクワクする講義や指導に巡り会うことができると思います。

在学中は、仕事や時間のやりくりなど、どんな工夫をされていましたか?

当時、私は、60歳を迎え、入学と併行してフルタイムの仕事から転職し、パートタイムの仕事に就きましたことから、他の学生の皆さまよりは時間繰りには自由が効きました。
そこで、この時間を利用して、在学中の2年間に、CFPの資格試験(6科目一括合格)や1級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格試験を受験して、当該資格を取得できました。本研究科はFPに強く、以下の3点などで、FPに関しては至れり尽くせりのサービスを受けられます。

  1. 本研究科では、CFPやAFPの継続教育制度の対象科目も多数履修が可能となっています。そこで、私も、該当科目を履修することで、CFPの3年毎の資格更新に必要な30単位を在学中に取得することができました。FP科目担当の先生方はいずれも実績を有する著名な先生方であり、最新の実務が学べます。
  2. また、本研究科で所定の科目を履修した上で、一定の要件を満たすことで、試験を受験することなく、AFP認定者の登録権利を取得することも可能となっていて、この制度の利用者も多いです。
  3. 日本FP協会の年会費も、本研究科のような専門職大学院在学中は、一定の手続きを取ることで、学生割引が適用され、半額となります。

以上、FP関連の制度の利用も大変お勧めできますので、ぜひご検討下さいませ。

修了後、院生同士で交流はありますか?

入学前は人間関係がどうなるのかも不安でしたが、杞憂でした。殆どの学生が社会人であり、かつ、会計・税務・ファイナンスの専門家を目指すという共通の目的がありますので、お互いに尊重し合え、複雑な人間関係は皆無でした。また、様々な経験を積んだ多様な人材が集っていますので、自分にはない経験や知識を持った方々から刺激を受けることがとても多かったです。とりわけ、同じゼミで過ごした先生・先輩・同期・後輩の皆さまとの結びつきは極めて強いものがあり、折々に参集しては懇親を更に深めております。

修了後、キャリアに変化はありましたか?(大学院での2年間は現在の仕事につながっていますか?)

前述の通り、本研究科への入学と併行して、現在の職場に転職して2年となります。大学院で学んだことは、実務でも大変役立っております。会計・税務・ファイナンス分野の業務は、理論と実務が乖離しておらず、理論で学んだことがそのまま実務で使われている点において、他の営業などの仕事と比べて大きなメリットがあると思います。
しかし安心はできません。人生100年時代と言われる現代、リカレント教育の必要性が謳われておりますが、常に学んでいかなければ、早晩、実際の役に立たなくなり、結果として淘汰されてしまうと思います。とりわけ会計・税務・ファイナンス分野は、基準や法律、実務が著しいスピードで激変している時代であり、今後AIと共存していくためにも、より高みを目指して学ぶ必要性は高まっています。私も、本研究科の修士課程を修了しましたが、引き続き聴講生として土曜日に授業を受けております。本研究科は、科目履修生制度・聴講生制度も大変充実していますので、(1)他大学で修士課程を修了した方が更に学ぶ場合や、(2)今後、本研究科に進まれたい方が事前に科目履修を受ける場合、(3)FP資格更新のための継続教育を受ける場合など、柔軟な利用方法が可能となっています。利用をお考えの方は、是非、事務局へお気軽にご相談頂きたいと思います。

今後、受験を考えている方へのメッセ-ジをお願いします

入学をお考えの方の中には、週末(土・日)の授業に耐えられるのか、修士論文は書けるのか、といった点を中心に大きな不安を持たれておられる方もいらっしゃると思います。しかし、案ずるより産むが易しです。前述の通り、先生方および事務局の皆さまの真摯なサポートがあります。思い切って飛び込んでみれば、きっと打開でき、新たな世界が開けてくることを請負います。私も入学前や入学後しばらくは不安を隠しきれませんでしたが、3カ月ほど経過して春学期を終える頃にはリズムに慣れてきて、軌道に乗ってきた感触がありましたし、友人たちも皆同様でした。それほどまでに人間の適応能力は柔軟なのだと思います。
また、ご家族をお持ちの方にとって重要なのは、どうしても授業で土・日を空けることになるため、ご家族のご理解を得ることかと思います。本研究科では、入学説明会が何度も開かれております。その中では、制度やカリキュラムの説明に加え、模擬授業なども行われます。そこで提案なのですが、ぜひご家族とご一緒に説明会に参加しては如何でしょう。ご家族にも具体的なイメージを持って頂くことができ、ご協力を得やすくなるのではないでしょうか? 市川キャンパスは緑が豊かで噴水などもあって癒やされますし、平日や土曜日は「The University DINING」という本学直営の素敵なレストランも営業していて、お子さま連れでも大いに楽しめます。
皆さまとキャンパスでお会いできることを楽しみに致しております。