並木孝之さん、藤沼航平さん

並木孝之さん(右)
2014年税務プロフェッションコース入学

藤沼航平さん(左)
2014年税務プロフェッションコース入学、2017年会計プロフェッションコース入学(マルチディグリー制度利用)

大学院への入学を決めた動機は何ですか

並木:坂の上税理士法人の前身であり、30年近く勤めていた税理士事務所の先代所長がきっかけです。千葉商科大学の出身である小菅所長が病に倒れたことから、従業員20数名を路頭に迷わせてはいけないと、自分が税理士資格を取得するために進学を決意しました。 大学院への進学は、「先が見える」というのが大きかったですね。税理士試験については30年ほど前に4科目合格していて、税理士登録まで残り1科目という状況でしたが、科目合格を目指すというのは、先が見えないんですよ。それが大学院に進学すると「論文を完成させる」という点で、大変ではありましたが、頑張れましたね。大学院在学中は、事務所のみんなが協力してくれ、勉強に集中できました。

藤沼:実家の跡継ぎという役目があり、税理士資格の取得を目指すことは決めていましたが、科目合格の受験の過程では勉強の機会が少ない国際租税や判例研究の知識も得られることに魅力を感じ、入学を決意しました。

なぜこの大学・大学院を選んだのですか

並木:税法の論文指導の先生が多いことです。他大学院も調べたのですが、立地より何より、指導教員の多さで選びました。埼玉にある自宅から市川キャンパスへ通い、丸の内キャンパスには松戸にある当事務所から通い、両キャンパスを活用していましたね。

藤沼:父が千葉商科大学の学部と大学院を卒業・修了していて、僕も学部出身なので、自然な流れで入学したという経緯です。父がお世話になった本研究科の矢澤秀雄客員教授の勧めもありました。入学後は僕も先生のお世話になりました。

大学・大学院での学びを通して得たものはありますか

並木:仲間です。当初は56歳で入学したので、1人孤独に、資格取得のためだけに過ごすのだろうと思っていました。それが入学してみると、ゼミの垣根を超えた仲間ができ、修了後から数年経過した今でも7~8人と継続した付き合いがあります。コロナ前は「taka会」という名の集まりで月に1度集まるなど、家族ぐるみの付き合いが継続しています。

藤沼:学部時代は専門学校とのダブルスクールをしていて、専門学校では受験勉強のための知識、大学院では実務に即した知識で先生方が教示してくださる点は大きく異なると感じました。高度な専門知識ともいえると思います。あとは、並木さんと重なりますが、何より人脈、横のつながりですね。

授業の内容が仕事に役立ったところはありますか

並木:相続を専門に取り扱っているので、「相続対策実務」「損害保険コンサルティング」「生命保険コンサルティング」が実務に直結しましたね。自分は専門ではないけれど、保険業界、銀行、司法書士などとチームで仕事をしていくうえで役立つ、基本的な知識を習得できたと思います。

出身ゼミの異なるお2人が、いま同じ税理士法人に勤務している経緯を教えてください

事務所
お2人が勤務する坂の上税理士法人

並木:みんなが私にちょっと声をかけづらいのか、ある学生を介し、みんな遠回しに声をかけてくるんですよ(笑)。藤沼君ともゼミは違うものの、そんなに接点がなくても仲が良い学年だったので、今もこうしてつながっているという状況です。

藤沼:大学院在学中には、他の事務所で働いていたり、実家を手伝っていたりしましたが、修了後にも並木さんとの縁が続いていて、ずっと声をかけてもらっていました。2022年2月から当事務所で勤め始めました。

並木:藤沼君のお父さんにも会って挨拶しているんですよ。「(藤沼君を)面倒みるから、預からせてくれ」と。

実務経験のない方や進学を検討している方へメッセージをお願いします

並木:実務経験がなくとも、当事務所では大学院を修了した方を積極的に採用していきたいと考えています。藤沼君のように2代目、また実務経験がないといった方にも、ゼロから教えるので、経験を積んでいただきたいと思っています。科目合格については税法1つ、会計1つだけでも修得しておくと、さらに先が見えてくるのではないかと思います。

藤沼:実務に就いた頃は、大変でした。そこまでは大変ですが、今ではお客さまの元へ足を運んで相談業務を少しずつ担えるようになりました。

並木:持論ですが、税理士の仕事はお客さまとのコミュニケーションが8割、税法の知識が2割。30代の税理士は、60~70代の中小企業の社長と対話するわけなので、そのなかで適切なコミュニケーションが取れるよう、税法の知識があることは大前提としたうえで、コミュニケーションをとれることがお客さまの信頼を得ることにつながっていくのだと思います。大学院には躊躇せずに、進学してみるのもいいんじゃないかと思います。本当にいい仲間もでき、30年前に取得した税理士試験4科目を「税理士資格」にすることができました。

藤沼:入学した当初は、実務未経験で入学したので、授業において理解できない点が多くありました。そんな中でも並木さんをはじめ、仲間の支えがあって、何とか付いて行けたと思っています。大学院で勉強するというのは、多くの学びに繋がり、一生の仲間、知識が得られると思います。

本研究科で資格取得という目的を達成したお2人。
修了後数年経過した今でも、当時を振り返り語る表情は生き生きと輝いていました。