教育方法と指導システム

研究基盤と特色

本コースは、政策情報学部の理念・方針を基盤としています。政策情報学部のカリキュラムは大きく2つの基本能力(Literacy)の修得に向けて構成されています。1つは「ポリシー・リテラシー(Policy-literacy)」であり、もう1つが「メディア・リテラシー(Media-literacy)」です。
「ポリシー・リテラシー」は従来のような教科書と講義中心の一方知識伝授型の教育では学び難いものです。むしろ社会や生活に関わり合い、問題を発見し、行動計画を立て、実行し、自ら責任を負うプロセスを体験してはじめて身につくものです。そのプロセスでは、関わりあう異質な人々との対話と交渉とが欠かせません。「ポリシー・リテラシー」とは、単なる知識ではなく、身体と人格とをもって修得すべき技法なのです。また、「メディア・リテラシー」とは、新しいコミュニケーション・インフラとして登場し、定着しつつあるデジタル・ネットワークを活用して異文化と交流し、豊富な情報を収集、蓄積、伝達し、かつ効果的な自己表現能力を修得することを意味しています。

カリキュラム

カリキュラムは政策情報学部で培った2つの基本能力「ポリシー・リテラシー」、「メディア・リテラシー」をヴァージョンアップし、より拡充した2つの高度能力である「コミュニケーション・コンピタンス(Communication-competence)」と「ポリシー・コンピタンス(Policy-competence)」を柱として構成されます。コミュニケーション・コンピタンス系は、情報機器を活用したプレゼンテーション能力、他者、他部署、他組織・機関との効率的な伝達と調整能力、さらに社会の動向に合わせたコンプライアンス能力などを意味しています。ポリシー・コンピタンス系科目は、問題設定および政策・戦略立案、実行、評価のより高度な能力を意味しています。

カリキュラムの特色

2種のコンピタンスは、相互に絡み合い、強化し合い、二重らせんの形をとりますが、その接合・統合を促進するのは、共通科目としてのワークショップ系科目です。

2つのコンピタンス科目関連の諸科目は、通常インストラクターの講義と履修者の報告およびディスカッションの組み合わせで進められます。ワークショップ系科目としては、「演習」、「プロジェクト」が配置されます。「演習」は、論文指導です。「プロジェクト」は、ポリシー・コンピタンスの4つのクラスターにそれぞれ対応する実際問題に関して、数名のインストラクターの共同指導の下に、現実的な結果を生み出すように計画されます。

実践的研究を支えるシステム

ワークショップ系科目の充実

コミュニケーション・コンピタンスとポリシー・コンピタンスを融合する役割を果たす「ワークショップ系科目」は、全セメスターを通じて履修します。

科目には
(1)演習(修士論文の作成指導)
(2)プロジェクト(実際問題をテーマとするグループ指導)
を配置しています。

フィールドワークの重視

実践的な教育研究を進めるために、「フィールドワーク・調査研究法」のほか、プロジェクトなどの授業においても企業、地方自治体、NPOなどとの共同研究を積極的に導入・実施します。

研究発表会の開催

院生、指導教員が全員参加する研究発表会で、プロジェクトおよび演習での成果を発表します。他研究科、学部にも広く公開し、研究の質的指向を図ります。

実践的研究を支えるシステム

以上のカリキュラム構成を通じて、本コースは、超領域指向の実践的研究者を育成するのみならず、次世代のさまざまな難問題の解決に力を発揮しうる新しいタイプの高度専門職能人を世に送り出します。

履修について

履修と修得単位

院生は、ポリシー・コンピタンス系の行政関連、環境関連、事業関連及び文化研究の4クラスターのうちから、自らの将来進路と研究テーマにもっとも適したクラスターをひとつ選択し、そのクラスター配当科目を中心に、他の3クラスター配当科目、コミュニケーション・コンピタンス系配当科目、およびワークショップ系配当科目から、選択・履修することになります。修得単位は30単位以上です。

修士論文指導

修士論文指導は、第2セメスターから第4セメスターで指導を受けます。論文作成指導では、学生の研究が幅広い視野を持つことができるように、指導教員と、複数の副指導教員で構成するグループ(複数教員)指導制を採用しています。
これにより、院生の研究テーマに対し、多面的な指導が可能となり、実践的な研究を行うことができます。