レタスの産地を守る新たな実践

受賞者

静岡県立富岳館高等学校
成島浩暉さん、内藤黎さん、佐野幹太さん、今渕友里弥さん、帖地一樹さん

地元再発見

温室を使ったレタス栽培と自ら開発した「AHXチップ」

地元活性化の方法

静岡県富士宮市では温室を使ったレタス栽培が行われているが、地球温暖化により夏季のレタスの収量や品質が低下している。そこで、環境ストレスに強いキノコから抽出した成長調整物質「アザヒポキサンチン(AHX)」を活用して高温に負けないレタスを作ることができないかと考えた。
AHXを地元製紙業の廃材・ペーパースラッジを炭化させたものに浸漬させた「AHXチップ」を考案・開発し、高温ストレス下でレタス栽培を行ってみた。AHXチップにより高温下でのレタスの生存率、栽培初期の栄養成長が高まり、多量のベビーリーフ(栽培初期の葉)を収穫できた。AHXチップはエコ資材であり、夏場のファン使用を抑えて栽培できるため、地球温暖化防止にも貢献できる。
農協や農家と意見交換して、地域のレタス農家へAHXチップの試験導入も行われ、多量のベビーリーフを収穫できた。チップは酪農の糞尿や水分を吸収し、堆肥化を促進、高温に負けない堆肥を作ることができるので、地域の酪農家への展開も考えられる。

講評または受賞にあたってのポイント

地元の農産物生産に直接寄与する実践的提案である。データに基づいた提案内容と取り組みは具体的であり優れている。地元製紙業の廃材を有効利用して開発したチップの有効性を、地球環境問題とも絡めてわかりやすく説明しているのがよい。

オーチャード・ウェディング

受賞者

青森県立名久井農業高等学校
野田寿樹さん、佐藤晴香さん、四戸美希さん、葛形小雪さん、松橋奈美さん、種市雪菜さん、佐々木愛さん

地元再発見

  1. 青森県南部町の果樹地帯の春の景色(リンゴ、サクランボ、モモ、ウメ、アンズ、スモモなどの花)
  2. 果樹地帯の夏秋の景色(初夏のサクランボ、ウメから秋のリンゴまでたわわに実る果実、ブルーベリーの紅葉)

地元活性化の方法

青森県南部町はフルーツの町と呼ばれている。しかし、農家の高齢化による耕作放棄の課題がある。そこで、耕作放棄地となった果樹園を結婚式の披露宴やパーティー会場などに活用するアイディアを考えた。
美しい花やたわわに実ったリンゴの下で行う結婚式は一生の思い出になる。引き出物には地域の果樹園から採れたての果物が贈られる。名久井農業高校では代々、白いリンゴと黄色いサクランボを栽培している。紅白のリンゴと幸せの黄色いサクランボは最高の引き出物となる。
農村ならではの美味しい郷土料理での「おもてなし」、フルーツたっぷりのウエディングケーキも魅力である。透明屋根の大型ハウスがあるので雨でも支障がない。
これらを若者が集まり企画運営することで、農村離れにも歯止めがきく。このアイディアの商品は景色である。景色を維持するための果樹園の管理はリタイアした農家のみなさんにお願いする。ベテラン農家さんの生き甲斐にもなる。町の業者に依頼する食事、駅からの輸送や宿泊など他産業の活性化にもつながる。当たり前だと思っていた農村の絶景を再発見することで、地域活性も図れる新しいビジネスが誕生する。

講評または受賞にあたってのポイント

地元の様々な資源を使ったアイディアをどのようにしたら実現できるかを丁寧に考察している。「自分たちにとって当たり前の光景が、地域外の人からはどのように見えるだろうか」という、顧客側の視点で構想を練っている点を高く評価する。映像によるプレゼンテーションもインパクトがありよくまとまっている。

最優秀賞