行政と市民社会の関係

渕元ゼミ

バブル経済が崩壊して以後、我が国の政治家もマスメディアも、「行政改革」を進めることを一貫して主張していますが、その行政改革の肝心の中身については、体系的に検討されているとはいいがたく、選挙向けのスローガンに終始しています。本ゼミナールでは、メディア等による皮相な諸論を再検討し、行政と市民社会のあるべき関係について、検討していきます。

学びのステップ

    卒業研究(4年次) 卒業論文を作成する!
読むべき文献や調べるべき調査対象などについて教員の指導を受けながら卒業論文を作成する。また、卒論発表会に向けてゼミ内で何度か発表する機会を設ける。
  ゼミナールII(3年次) 独自の研究を開始する!
ゼミナールIで培った知識をベースに、独自の研究を開始する。卒業論文作成の準備段階として分析手法を学び、テーマを吟味していく。
ゼミナールI(2年次) 政治学、行政学、経済社会学の基礎を学ぶ!
政治学、行政学、経済社会学の基礎的な知識を学ぶ。公務員志望者は公務員試験にも有用な知識を学ぶ。

「環境」×「行政」の道をめざす

細谷一樹さん

3年生の細谷一樹さんは、公務員として環境行政に取組むことをめざしています。環境問題に興味を持つようになったのは、小さいころに、家族で畑仕事をする機会があり、自然が身近だったことがきっかけでした。ゼミナールを選ぶにあたり、環境について専門的に学ぶことも選択肢にありましたが、「行政として環境問題にどう取組むか」に関心を持ち、学んでいます。

自分自身の興味、関心をさらに発展させ「災害行政」の研究を開始

スクラップ

チームリーダーとしてチームをまとめながら、主に「災害行政」について調査を進めています。近年、未曾有の自然災害が全国各地で起こり、大きな被害を受けています。心を痛めるとともに、行政としてこの問題にどう取組んでいくのか、ということに今まで以上に関心が高まり、チームの研究テーマとして提案しました。元々興味があった環境問題を大きく捉えれば、災害への対策ということに繋がりますし、自然災害は、今この瞬間に私たちを襲う可能性があります。そんな危機感を持ちながら研究に取組んでいます。

現段階では、新聞や雑誌に掲載された自然災害関連の記事をスクラップしたり(写真参照)、テレビのニュース番組や特集番組で自然災害が取り上げられたものを録画したりして、メディアの情報収集をしているところです。集めた情報を見比べてみると、例えば豪雨等の被害が、ある地域ではゼロに近いのに、すぐ隣の地域では被害が大きいといったことが起こっていることに気付きました。このように、地域による被害の規模の違いなどを研究結果としてまとめる予定です。災害の報道に接していると「いかに人的被害をなくすか」というのが、行政として最も大切なことだと強く感じます。

公務員をめざしているので、ゼミナールでの研究を進めながら、公務員試験対策のための課外講座を受講しています。また、公務員をめざす学生サークル「地域政策研究会」に所属し、サークルの所属メンバー専用の学習室に、週6日通って勉強に励んでいます。単に試験対策をするだけでなく、渕元ゼミナールで学ぶことで、行政を自分ごととして考えられるので、平面的な知識だけでなく、社会に出てからも役に立つであろう学びを得られていると思います。それに、渕元先生は公務員試験に精通しているので、とても心強いです。将来は公務員になって、環境問題や災害に取組みたいと思います。

どんなゼミ?

ゼミ風景

夏休みに、2年生と3年生で合宿に行くのですが、その合宿で学年の垣根を越えて仲良くなれるので、和気あいあいとした雰囲気ですね。授業では、チームごとにゲームをしながら行政の仕組みや予算の組み方を学ぶなど、グループワークをすることが多いです。また、みんなで映画『シン・ゴジラ』を鑑賞して、行政がどんなことを行っているか気付いたことを発表し合うといったこともしました。ゲームや映画などを通して学ぶことで、行政をより身近に感じられます。

教員の声

渕元 哲専任講師

本ゼミナールのテーマは大きく分けて2つ、「行政サービスの社会的影響の調査」と「経済社会学」があります。これらのテーマについて、調査、発表をグループワークとして行います。また、ゲームを通して都市と地方の関係性や地域経済の仕組み等を学んだり、「防災と減災の比較行政社会学」、「自治体によるUターン・Iターン政策の比較研究」、「『たばこと行政』の歴史社会学」、「AI時代の経済社会学:ユートピアかディストピアか」といったテーマでチームごとにディスカッションやディベートを行ったりもします。本ゼミナールの受講生は、公務員をめざす学生が多いため、学生が行政を身近に感じられるような工夫をしています。
細谷くんは、1年生の入門ゼミ受講当時から、環境に対して強い思いがあることを感じていましたが、本ゼミナールで学び、行政の知識を深めることで、「災害行政」に興味を持つようになりました。視野が広がり、チームリーダーとして2年生の面倒をよく見ていると思いますね。これからは、行政サービスを実際にどのように生かしていくか、ということをさらに、つきつめるとよいのではないかと思います。