映像表現研究

杉田ゼミ

映像制作と聞いて、あまり難しさを感じない人が多いかもしれません。今、スマホやデジカメなどの身近なものでもきれいに撮影でき、簡単に使える編集ソフトもたくさんあります。作った映像を瞬時に投稿し、誰でも見れる動画サイトも人気です。しかし、映像はその歴史が始まった時からさまざまなものと向き合い、見つめ、記録し、そして、表現してきました。簡単にできる時代でも、映像で残したいもの、伝えたいものを表現する知識と技術があってこそ、貴重な資料となり、影響力になるのです。
このゼミナールでは、「<地域>×<私>×<映像>」で織りなす作品を研究し、自らテーマを決めて制作に取り組んでいきます。

学びのステップ

    卒業研究(4年次) オリジナリティを探求した映像作品を制作する!
ゼミ活動の集大成として、オリジナリティに溢れる映像制作を卒業研究とする。
  ゼミナールII(3年次) さまざまな映像表現を学ぶ!
自ら生成したテーマに沿った表現の技法を選んで映像を制作し、全員で協力して上映会を企画、運営する。
ゼミナールI(2年次) 撮影機材の使い方に慣れる! 映像制作のワークフローを知る!
映像制作の基本となる撮影機材や映像編集ソフトの使い方、企画書や絵コンテの作成方法を学び、グループ制作を行う。

映像で記録する「自然エネルギー100%大学へ」の活動

鈴木高徳さん

鈴木高徳さんは3年生の時、IT系のゼミから映像制作をテーマとする杉田ゼミに入りました。
新しいゼミを探さなくてはいけない状況で「正直、映像制作に興味があるわけではなかった」と振り返る鈴木さんですが、ゼミに入った2017年度は、本学が「自然エネルギー100%大学」をめざす宣言を行い、全学的な取り組みを本格化した年。
杉田ゼミではその記録に関わり、初めてカメラに触れる鈴木さんも、さまざまな活動の現場を撮影し、映像の編集を重ねています。

カメラを通して見えてきた知ることの面白さ

ゼミ風景

自分の考え方で言えば「学校は義務」。大学は義務教育ではありませんが、そこに通っている以上、義務だと考えてしまうんです。だから、このゼミに入って先生に「やりたいことをやりなさい」と言われても、よく意味が分からなかった。ゼミだって、カリキュラム上入らなければいけないものなので、「○○がやりたいから○○ゼミに入る」という熱意みたいなものは自分にはなかったかもしれません。映像制作を始めたのは1年前ですが、この1年間は大学が日本初となる「自然エネルギー100大学」をめざすさまざまな活動が行われました。その様子を撮影することも、最初は「ゼミ活動としてやらなくてはいけないこと」と捉えていたと思います。

でも、おかげでいろいろな現場に出かけてみると、カメラを通していろいろなものを見て、知ることができました。ゼミでは、指定の数だけ読書や映画を鑑賞して、感想を書くという課題があります。どんどん機会を与えてもらうことで、今まで自分が知らなかったことを知るという経験がたくさんできて、それはそれで面白いと思っています。カメラも編集も初めてのことばかりですが、映像制作をやってみると、今までは何気なく見ていた動画でも、作り手の立場になって考えたりします。たった5分の動画でも、撮影も編集もそんなに計画通りには進みません。どれだけ時間がかかるかも分かるので、大変だなと思います。実際に自分も制作を経験してみて、うまくいかないとイライラしてばかりでしたが、数をこなしていくうちに、そういうものだと悟りが開けたような。あとは完成した時の解放感は本当に気持ちがいいものです。

4年生になっても「自然エネルギー100%大学」への活動を記録し続け、それを卒業研究に生かしていきたいと考えています。大学が日本で初めてとなることに挑戦しているわけですが、記録という立場から自分もすごいことに参加しているという実感はあります。周りの人が写真や動画を撮るのを気にも留めなかったけど、人は何かを残したいと思うものなんだなと今は理解できているので、その役に立ちたいと思います。

どんなゼミ?

ゼミ風景

杉田ゼミは私たちの学年が1期生になるので、先輩がいません。教えてくれる人がいないというのは少し大変だと思うこともありますが、逆に気を遣うこともなく、みんな仲良くやっています。制作活動だけでなく、ゼミの後にはみんなでご飯を食べに行くこともあって、楽しいですよ。
同じ学年の中でも、映像制作への興味や技術力はそれぞれ違います。面倒見のいい人がいたり、私は人に助けられるタイプ。互いに補い、助け合いながら、まとまって活動することができています。

教員の声

杉田このみ専任講師

映像はその現場に行かなければ撮ることができませんが、そのために学生の時間を拘束することは難しいし、やりたいことをやる学生の方が多い気がします。鈴木くんは真逆で、与えられたことはやるし、できる。映像制作のフローや撮影の技術を学んでほしくて、いろいろな機会があることを伝えていたのですが、結果、すべての現場に出かけたのではないでしょうか。編集も仲間の助けを借りながらセンスも良くなってきました。ただ、卒業研究は自分でテーマを決めてアプローチするものなので、もっと積極的になり、やりたいことを見つけてほしいと思います。

「自然エネルギー100%大学」への取り組みの記録は、鈴木くんだけでなく、ゼミとして本当に意義のあることに関わっています。関係する人たちもたくさんいて、その中にいることで新しい発見があり、学びになります。大学時代の恩師が「映像制作すると、未知のことが既知になる、既知のことが未知になる」と言っていたことをよく思い出すのですが、知らないことを知ることは面白いし、知っていると思っていたことも実はよく知らないと気づくのは、それだけ人や社会に関わってこそなんですよね。また、それは意外と学生時代にしかできないことでもあるので、どんどん関わってほしいと思っています。これがすごいことだと気づくのは、5年、10年先のことかもしれませんが、自分たちが記録し、制作した映像を見た人たちが、それに興味を持って行動を起こすこともあるでしょう。未来に意味があるテーマで映像を作ることを、みんなで頑張っていきます。